このページに登場する昆虫
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トドマツノタマバ
エ
Paradiplosis manii (INOUYE)
英名 Fir needle midge
- 分類 双翅目 タマバエ科 CECIDOMYIIDAE
- 体長 成虫:雄1.7〜2.0mm 雌:2.7〜3.0mm
- 被害 幼虫が針葉内に入り虫えいをつくる。この寄生をうけると針葉は“く”
の字型にまがる。幼虫が虫えいを脱出すると,針葉は黄変して落葉する。激害の
場合新葉がちぢれたようにみえ,新梢が枯死することもある。
- 生活史 年1世代。幼虫で越冬。4月下旬に蛹化,5月中,下旬に羽化し,土中
から成虫が現われる。交尾の後,雌成虫は開じょの始まった新梢の針葉と針葉の
間に産卵する。ふ化した幼虫は針葉の組織内に潜入寄生する。寄生した部分は少
しふくれて虫えいとなる。夏から秋まで虫えいの中で針葉から栄養を摂取し成長
する。10月中旬ごろ老熟した幼虫は虫えいからでて地上に落下し,地中1〜5cmの
腐植層に入って繭をつくって越冬する。
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トドマツノタマバエの被害を
うけたトドマツの葉
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虫えい内のトドマツノ
タマバエ幼虫
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トドマツノタマバエの
被害をうけたトドマツ
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マツバ
ノタマバエ
Thecodiplosis japonensis UCHIDA et INOUYE
英名 Pine needle gall midge
- 分類 双翅目 タマバエ科 CECIDOMYIIDAE
- 体長 老熟幼虫:約3mm 成虫:雄1.7mm 雌2.5mm
- 被害 幼虫が針葉に寄生し虫えいをつくる。寄生された針葉は短かくなったり
,くの字に曲ったりする。幼虫が脱出すると寄生された針葉は枯死し脱落する。
生長への影響はかなりあり,虫えい形成針葉率が30%以上では特に目立つ。アカ
マツでは2〜3年激害がつづくと枯死するものもでる。
- 生活史 年1世代。幼虫で越冬。5月下旬に蛹化し,6月中旬〜7月中旬に羽化す
る。成虫は交尾後は伸長を始めた1〜1.5cmの針葉の間に産卵する。ふ化した幼
虫は針葉の基部に移動する。定着すると基部はゆ合しふくらんで虫えいになる。
定着する場所は基部(袴の中)が多いが時には針葉の途中の場合もある。虫えい
内の幼虫数は通常複数(2〜24頭)である。虫えい内で成熟した幼虫は11月上旬
〜下旬に虫えいから脱出し地上に落下して,地中で繭をつくり越冬する。
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虫えい内のマツバノタマバエ
成熟幼虫
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針葉基部のマツバノタマバエ
虫えい
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マツバノタマバエ虫えいの形成場所の
異なる被害葉(曲がったところが虫えい)
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マツバノタマバエの
被害をうけた枝
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エゾマツノシントメタマバエ
Dasineura ezomatsue UCHIDA et INOUYE
英名 Spruce shoot gall midge
- 分類 双翅目 タマバエ科 CECIDOMYIIDAE
- 体長 老熟幼虫:約3.5mm 成虫:雄2.9mm 雌3.7mm
- 加害樹種 エゾマツ,(アカエゾマツにも同様の虫えいが形成されるが本種で
あるか否か不明)
- 被害 幼虫が新芽に寄生し虫えいをつくる。虫えいは頂芽に多いが側芽にもで
きる。幼齢造林地において目立つが,大径木でも寄生しているのがみられる。
- 生活史 年1世代。幼虫で越冬。4月中旬蛹化し,5月上旬虫えいの頂部から上
半身を外に出して羽化する。成虫は交尾した後,雌成虫はふくらみ始めた新芽に
産卵する。ふ化した幼虫は新芽の中心で栄養を摂取しはじめる。寄生された芽は
新葉の展開がとまり,ふくらんで虫えいとなる。1虫えいには1頭の幼虫がいるの
が普通である。幼虫は秋までに赤橙色になり老熟して虫えいの中で越冬する。虫
えいは新芽のみで形成されるのではなく,新芽の新梢部を含めて形成される。
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エゾマツノシントメ
タマバエの虫えい
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虫えい内のエゾマツノ
シントメタマバエ若齢幼虫
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エゾマツノシントメタマバエ
の雌成虫
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エゾマツノシントメタマバエ
の雄成虫
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スギタマ
バエ
Contarinia inouyei MANI
英名 Cryptomeria needle gall midge
- 分類 双翅目 タマバエ科 CECIDOMYIIDAE
- 体長 老熟幼虫:約1.2mm 成虫:雄1.4mm 雌1.8mm
- 被害 幼虫が新葉に虫えいをつくる。スギ新芽の先の部分の新葉基部に虫えい
をつくるため,秋にこの針葉が枯死する。また,虫えいがつくられた位置より先
端部の寄生されていない針葉も枯死する場合が多い。本種による被害はほとんど
ない。
- 生活史 年1世代(北日本では多少不規則)。幼虫で越冬。4月下旬に蛹化し,5
月下旬〜6月中旬に羽化し,地中から脱出する。成虫は展開し始めたスギ新芽
の針葉間に卵塊状に数個の卵を産む。卵は4〜5日でふ化し,幼虫は針葉にもぐり
虫えいを形成する。9月中旬に2齢から3齢幼虫になる。10月〜11月にこの虫えい
からはいでて地上に落下し,地中1〜2cmで繭をつくり越冬する。生活史の主流は
以上のとおりであるが,7月下旬に羽化するもの,虫えいの中で越冬するものも
報告されている。
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スギタマバエの被害をうけた
スギの葉
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スギタマバエ虫えい |
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スギタマバエの雌成虫 |
虫えい内のスギタマバエ若齢幼虫 |
カラマツタネバ
エ
Lasiomma laricicola (KARL)
英名 Larch cone maggot
- 分類 双翅目 ハナバエ科 ANTHOMYIIDAE
- 被害 幼虫が球果を食害する。若い球果の基部から種子の内部に入り,食害し
つくすと同じ種りんの他方の種子を食い,次の種りんに移っていき,らせん状に
次々と種子を食害する。7月中旬頃から種りんが紫色に変色する。1匹の幼虫の種
子の食害率は50〜80%に達する。
- 生活史 年1世代。蛹で越冬。4月下旬〜5月上旬成虫が羽化する。成虫は羽化
後すぐ産卵するのでなく,カラマツの花粉の飛散が終了する頃(札幌では5月下
旬)に開始される。卵は種りんの間隙に産まれ,産卵数は1球果に1〜40個である
。幼虫は卵の中で1回脱皮し2齢幼虫となってふ化する。球果内で3齢幼虫となる
。7月に大部分の老熟幼虫は地上に落下し蛹化するが,球果内で蛹化するものも
いる。地上に落下したものは深さ2〜3cmの落葉層の中で蛹化し越冬する。以上の
年1世代のものの外に,2年後に羽化するものが一部ある。
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カラマツタネバエの幼虫 |
カラマツタネバエの蛹 |
カラマツタネバエの成虫 |
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