このページに登場する昆虫
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コスジオビハ
マキ
Choristoneura diversana(HBNER)
- 体長 老熟幼虫:約16mm 成虫:開張15〜20mm
- 被害 5月,幼虫が展開を始めた新芽に入り,開葉に伴って葉をつづり新葉を
食害する。老熟幼虫になると新梢の茎も食害するので,先端部が下垂し枯れる。
何年も続けて被害をうけると新梢部がほうき状になり,生長を阻害される。
- 生活史 年1世代。幼虫で越冬。5月上旬,幼虫は越冬巣から移動して,ふくら
み始めた新芽に食入する。6月下旬加害場所にうすい網をはって中で蛹化する。7
月上旬に羽化し,成虫はトドマツの葉の表面に1列に淡黄色の卵を産みつける
。7 月下旬ふ化した幼虫は摂食せずに枝や幹の樹皮のすき間に入り,繭様の越冬
巣をつくってその中で一回脱皮し2齢幼虫で越冬する。
- トドマツ針葉を加害するハマキガ類は多く,これまで20種ほどが知られている
。これらハマキガの被害の共通点は新葉だけをたべることで,6月に被害が集中
する。
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コスジオビハマキ終齢幼虫 |
コスジオビハマキ雌成虫 |
食害をうけたトドマツの新梢 |
カラマツイト
ヒキハマキ
Ptycholomoides aeriferana(HERRICH‐SCHFFER)
英名 Larch webworm
- 体長 老熟幼虫:約15mm 成虫:開張18〜22mm
- 分布 北海道,本州(中部以北),中国,ソ連,ヨーロッパ,イギリス
- 被害 幼虫が葉を食害する。はじめは輪生葉をつづり,その中で食害している
が,成長すると,糸を出し枝を移動しながら針葉を食害する。被害がひどい場合
,一面に糸が張りめぐらされ,食いちぎられた針葉の残がいや虫糞がついて,全
体赤褐色を呈する。
- 生活史 年1世代。幼虫で越冬。カラマツの開葉とともに輪生葉に移って6月中
,下旬頃まで食害する。簡単に葉をつづってその中で蛹化し,6月下旬〜8月上旬
に羽化する。卵は針葉の間に塊状に産卵する。ふ化した幼虫は摂食せず,すぐに
樹幹に移動し,粗皮下に糸を張ってその中で越冬する。
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カラマツイトヒキハマキ
終齢幼虫
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カラマツイトヒキハマキ蛹 |
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カラマツイトヒキハマキ
雌成虫
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カラマツイトヒキハマキ
雄成虫 |
カラマツヒメハ
マキ
Spilonota eremitana MORIUTI
英名 Larch leafroller
- 体長 老熟幼虫:8〜9mm 成虫:開張12〜14mm
- 被害 幼虫が針葉を食害。被害をうけた針葉はい縮,褐変する。そのため,激
害になると林全体が褐色になる。
- 生活史 年2世代(年によっては1世代のこともある)。幼虫で越冬。5月新葉
の展開とともに越冬後の幼虫は新葉を加害し,つづった葉の中で蛹化し,6月下
旬に羽化する。産卵の生態については不明。ふ化した若齢幼虫は,針葉のうらの
海綿状組織を食害し,つづいて葉肉に潜入する。その後成長すると針葉内から脱
出し,輪生葉を数枚たばねて中の針葉を食害する。緑色部がなくなれば次の輪生
葉に移動する。この輪生葉束の中で蛹化する。2回目の羽化は9月上,中旬頃であ
る。第2世代の幼虫は10月頃に摂食を中止し,短枝の基部に枯葉を糸でつづった
灰色の厚い膜をはり,その中で越冬する。
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カラマツヒメハマキ終齢幼虫 |
カラマツヒメハマキ雌成虫 |
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被害をうけたカラマツの輪生葉 |
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マツアトキ
ハマキ
Archips oporanus(LINNAEUS)
英名 Pine tortricid
- 体長 老熟幼虫:約16mm 成虫:開張16〜25mm
- 加害樹種 トドマツ,エゾマツ,マツ類,イチイ,カラマツ
- 被害 幼虫が葉を食害する。また,球果が食害されることもある。
- 生活史 北海道では年1世代が普通。幼虫で越冬。4月下旬頃,越冬場所附近の
葉の内部に潜入して摂食をはじめ,芽が開き始めるとこれらに移り,芽の基部に
クモの巣のような糸をはって新葉を食害する。開葉がすすむと新針葉に糸をはり
小枝に沿って糸で薄いトンネルをつくってその中に住み,でてきては食害する。6
月上旬,この中で蛹化する。蛹期は約2週間で6月下旬には成虫が現われる。産
卵生態は不明。ふ化した幼虫は越冬まで,2,3本の葉を食害,そのうち1本に潜
入するか,あるいはこれらの葉をつづり合わせた中で越冬する。
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マツアトキハマキの終齢幼虫 |
被害をうけたトドマツの枝 |
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マツアトキハマキの雌成虫 |
マツアトキハマキの雄成虫 |
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