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森林総合研究所北海道支所
創立百周年記念講演会
「過去から未来への森林研究」



 森林総合研究所北海道支所は、1908年に内務省野幌林業試験場として江別村大字野幌志文別に発足して以来、2008年6月をもって創立100周年を迎えました。
 この100年の間には、林政統一に伴う林業試験機関の合併、移転、組織改編に伴う名称変更、独立行政法人への移行などがさまざまな事がありました。
近年、地球温暖化と森林との関わり、森林の持つ公益的機能、森林への関心は高まっており、森林に関する北海道地域の総合的研究を行う森林総合研究所の役割は、ますます大きくなっております。今後の国民へのサービス向上に資すべく、創立100周年記念行事として、下記のとおり講演会を開催しますので、お知らせします。



    日 時   平成20年11月19日(水) 13:10〜16:40

    場 所   札幌市教育文化会館 小ホール
            (札幌市中央区北1条西13丁目) 011-271-5821

    入場料   無料  事前申し込み不要

プログラム

 開会 13:10
 支所長挨拶 13:10〜13:20
 研究発表
1.北海道支所の育林研究を振り返る
                               北海道大学名誉教授 高橋邦秀
13:20〜13:55
2.森林経営分野における研究の歴史と研究成果
                               日本森林技術協会 主任研究員 猪瀬光雄
13:55〜14:30
3.北海道の森林保護を振り返る
                               本所 研究コーディネーター 福山研二
14:30〜15:05
 休憩 15:05〜15:30
4.ヤナギバイオマス林の育成
                               北海道支所 地域研究監 丸山温
15:30〜16:05
5.生物多様性に配慮した北海道の森づくり
                               北海道支所 森林生物研究グループ  尾崎研一  
16:05〜16:40
 閉会 16:40


講   演   要   旨


研究発表

 1.北海道支所の育林研究を振り返る

                  北海道大学名誉教授  高橋 邦秀


 1908年(明治41年)に林業試験場が設立され、育林研究はまず苗木づくりと樹種特性の把握の基礎的試験から始まった。その痕跡は登満別の樹木園や野幌森林公園に見ることが出来る。当時北海道で問題となっていた森林火災跡地の緑化も重要な研究課題であった。野幌には多くの樹種について試験林が造成され、成長調査や適地判定が行われている。これらの基礎的な研究成果は昭和29年発行の原田泰の著書「森林と環境」に盛り込まれた。一方、同年の洞爺丸台風により、北海道の天然林は、未曾有の攪乱を受けた。北海道の針葉樹天然林の代表的地域であった大雪山地域の天然林も壊滅的な被害を受け、風倒木の処理と跡地の植林に大きなエネルギーがつぎ込まれた。その後の森林の変化について当時の旭川森林管理局と共同調査を実施し、多くの重要な情報を得ている。羊ヶ丘の森林の遷移について生態学的視点からモニタリング調査も実施されており、森林風害跡地の森林動態についてのこれまでの調査・研究の成果と問題点を紹介します


 2. 森林経営分野における研究の歴史と研究成果

                  日本森林技術協会 主任研究員  猪瀬 光雄


 森林総合研究所北海道支所の前身は、1908年(明治41年)に、江別市大字野幌志文別に内務省野幌林業試験場として設立された。そして、経営部が設置されたのは、1951年(昭和26年)に、支場を札幌に、また分室を西野幌に置いた年である。
また、1953年(昭和28年)には、野幌の試験設備を全て札幌市豊平に統合し、北海道支場と改め、翌年には牧野研究室(1965年に営農林牧野研究室と名称変更)を新設した。1970年(昭和45年)には防災研究室が治山及び防災研究室に分離され、経営部の研究体制が整った。
 1988年(昭和63年)には、森林総合研究所北海道支所に改組され、天然林管理研究室、経営研究室、防災研究室の3研究室となり、2005年(平成17年)に独立行政法人となるまで、経営部としての研究活動を行ってきた。
このような時代の流れと、経営部の森林研究に関する歴史や取り組んできた主要な研究概要を紹介いたします。


 3.北海道の森林保護を振り返る


                  本所 研究コーディネーター(国際研究担当)  福山 研二


 戦後は、造林が始まるとともに、苗畑害虫が問題となった。一方、北海道の重要な資源であった大雪山の石狩川源流域の膨大な天然林が洞爺丸台風により、風倒木を温床として、ヤツバキクイムシによる被害が大問題となった。トドマツの造林が進むと、植栽間もない造林木にトドマツオオアブラムシというアブラムシが発生して問題となった。さらに、カラマツが本州より導入され、大規模に植林されるようになるとともにエゾヤチネズミによる被害が大問題となり、先枯れ病、マイマイガの大発生などが次々とおこり、現在でも新たな害虫などの発生が続いている。トドマツでは、ツガカレハが北見地方でほぼ10年周期の大発生をしており、特に1977年は、規模が大きかった。最近では、天然林での病虫害の増加に加え、エゾシカなど獣害が大きな問題となっている。このように、造林の歴史とともに森林保護の問題も次々に変化をしながら新たな問題が起こっている。


 4.ヤナギバイオマス林の育成

                  北海道支所 地域研究監  丸山 温


 温暖化・気候変動や資源の枯渇など地球環境問題が深刻化している中、低炭素・循環型社会の構築に向けて環境負荷が小さく循環利用の可能なバイオマスの有効利用が喫緊の課題となっています。北海道には緩傾斜の山林などバイオマス生産に適した場が広く存在しています。そこで、挿し木が容易で初期成長が早く、萌芽により再生する能力が優れたヤナギに着目し、1〜3年程度の極めて短い伐期で繰り返し収穫するバイオマス林の実用化を目指した研究を開始しました。研究の背景と内容についてご紹介いたします。研究期間は当面3年で、収穫機械の設計開発を含む栽培システムの確立と経済性や二酸化炭素放出削減効果の評価を目標としています。将来的には、低炭素・循環型モデルタウンの構築へ発展させたいと考えています。

 5.生物多様性に配慮した北海道の森づくり


                  北海道支所 森林生物研究グループ 主任研究員  尾崎 研一


 我々は日々、多様な生物の恩恵を受けて生活しています。つまり、生物多様性が失われていくことは、単に野生生物が絶滅することではなく、我々の存続の基盤が失われていくことなのです。そのため、生物多様性条約では「2010年までに生物多様性の損 失速度を顕著に抑える」という国際目標が立てられています。我々は、2010年に向けて、そしてその後も、どのようなことができるでしょうか。北海道では、明治の開拓以来、標高の低い所にある広葉樹を主体とする林は農地やカラマツ林にかわり、標高の高い所にある針葉樹を主体とする林は伐採により質が低下しています。特にカラマツは元々、北海道には生息していない移入種なので、生物多様性に悪影響を及ぼしている可能性があります。これらの人間による改変の影響を明らかにし、生物多様性に配慮した森づくりを進めていく必要があります。生物多様性に配慮した森林は木材生産に最適ではないかもしれません。しかし、森林の様々な恵みを後世に残すためには、生物多様性に配慮した森づくりを行う必要があるのです。


札幌市教育文化会館へは

交通
 地下鉄 東西線 西11丁目駅から徒歩5分
 JR・中央バス 厚生年金会館前から徒歩1分
 市電 西15丁目から徒歩10分